シロアリが木材を食べることは知っていても、具体的にどのような被害を及ぼすのか、どのような場所が被害に遭いやすいのか理解している人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、日本でのシロアリ被害発生率や被害の症状、被害が発生しやすい場所について解説します。

初期症状についても詳しく解説するので、まだシロアリを見つけていない人も、家がシロアリの被害を受けていないか確認してみてください。

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日本でのシロアリの被害発生率は?

はじめに国内のシロアリ被害発生率について解説します。シロアリがどのような地域に多く発生するのか、どのような種類が多く分布しているのか確認していきましょう。

【場所別】シロアリの被害発生率

参照:国土交通省 シロアリ被害実態調査報告書「地域別蟻害発生率」

2013年3月に実施された国土交通省補助事業 シロアリ被害実態調査報告書の地域別蟻害発生率によると、シロアリによる被害は九州や四国、中国地方を中心として西日本の被害発生率が高い傾向にあります。

これは、シロアリが暖かく湿った場所を好むためです。

しかし、近年は気温の低い地域にも被害が拡大しており、岩手県は24.8%、宮城県では18%もの被害が発生しています。

理由としては、地球温暖化の影響や住宅構造の断熱性が向上したことで、寒い地域でもシロアリが活発に活動できるようになっていることが挙げられます。

【種類別】シロアリの被害発生率

国内に生息している、建物に被害を与えるシロアリは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種類です。

2013年3月に実施された国土交通省補助事業 シロアリ被害実態調査報告書の白蟻種類別の被害発生割合によると、被害発生率は全体の約92.0%をヤマトシロアリが占めます。

ヤマトシロアリは北海道の一部を除く全国に分布しており、寒さに強い種類です。

ヤマトシロアリ 92.0%
イエシロアリ 7.7%
アメリカカンザイシロアリ 0.3%

次に被害が多いのはイエシロアリで、全体の7.7%におよびます。

生息地域は、千葉県の南部から神奈川県三浦半島、静岡県以西の海岸線を沿って西日本、九州と太平洋側を中心に分布しています。

シロアリによる被害の初期症状

シロアリの被害を最小限にとどめるには、できるだけ早く被害に気づくことが大切です。次のような症状が出ていないか確認してみましょう。

 次のような症状が出ていない?
  • 床がきしむ
  • ドアの立てつけが悪くなる
  • 壁や柱を叩くと空洞音がする
  • 床下や外壁に蟻道がある
  • 床に木くずを発見する

シロアリは暗く湿った場所を好み、光の当たらない木材の内部を食べ進めていくため、表面的な被害が見えにくいです。

代表的な初期症状としては、床がきしむ、ドアの立てつけが悪くなる、柱を叩くとポコポコと空洞音がするなどが挙げられます。

また、外壁や基礎の立ち上がり部分などに蟻道がある場合はシロアリが住み着いている可能性が高いです。

※蟻道(ぎどう):シロアリが排泄物や分泌物で作るトンネルのような道

シロアリの被害が進行するとどうなる?

シロアリによる被害に気づかなかったり放置したりすると、さらに被害は進行していきます。

ヤマトシロアリの場合

ヤマトシロアリは、柔らかく湿った木材を好むため、湿度の高い床下を中心に被害が進行していきます。

また、お風呂場や洗面所など水回りのタイルに亀裂や隙間があると、水分が流れ込み木材が湿り、シロアリが生活しやすい環境になってしまうのです。

さらに雨漏りが発生している箇所があると、その場所の木材を食べるためにシロアリが登ってくることもあります。

イエシロアリの場合

イエシロアリはコロニー(巣)内の個体数が多く、ヤマトシロアリが2~3万匹に対しイエシロアリは50~100万匹にもなります。

また、自分たちで水を運び木材を湿らせて食べる習性があるため、被害箇所が広範囲に及ぶ可能性があります。

シロアリの被害が発生しやすい場所

シロアリの被害が発生しやすい場所を把握しておくことで、早期に発見・対策できます。

 シロアリの被害が発生しやすい場所
  • 湿度が高い場所
  • 温度が適温の場所
  • シロアリの外敵がいない場所

上記の条件が揃う場所は特にシロアリの被害に注意しましょう。

湿度が常に高い場所

シロアリは水分を含んだ木材を好むため、湿度が常に高い床下やお風呂場、洗面所、日の当たりにくい家の北側は被害を受けやすいです。

また、畳には湿気を吸い部屋の湿度を調整する役割があるため、古くなって大量に湿気を含んだ畳はシロアリが寄ってきやすくなります。

温度が適温の場所

ヤマトシロアリは12~30度、イエシロアリは30~35度ほどで活発に活動します。

ほとんどのシロアリは6度以下では活動しなくなると言われていますが、冬も活動を完全に停止することはありません。

また、近年は断熱性が高い家が増加しているため、以前よりシロアリが活動しやすくなっています。

シロアリの外敵がいない場所

シロアリは外敵が侵入できない狭い場所で巣を作り、繁殖します。

シロアリの天敵は、シロアリを捕食するクロアリやカエル、ツバメ、トカゲなどです。

このような外敵から身を守るため、地中や木材の奥深くに巣を作ります。

また、基礎部分とポーチの隙間や、玄関タイルとドア枠の付け根など狭い隙間を侵入口にします。

シロアリの被害に気づいたら早めの対策を

また、木材が食い荒らされてしまうことで、建物の耐震性を大きく低下させる危険性もあります。

シロアリを見かけていなくても「床がきしむ・ドアの立て付けが悪くなる」などの違和感に気づいたら、そのまま放置せず一度専門業者に相談してみましょう。

専門業者の選び方や駆除の際の費用の相場などはこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

シロアリは1年中活動し、被害を拡大させていくため、被害に気づいたらなるべく早く駆除する必要があります。

しかし、シロアリは光が当たらない場所の木材を食べ進めていくため、発見するのが難しいです。日頃から建物に違和感がないか気を配るようにしましょう。

特にシロアリが被害を拡大させやすい、湿度の高い場所・適温が保たれる場所・シロアリの外敵が浸入しにくい場所がないか見回ってみてください。

「もしかしたらシロアリかも」という症状を見つけたら、まずは専門業者に相談してみましょう。