日本は、豊かな自然と独自の文化がある一方で、地震大国としても知られています。このような環境下では、建築物に対するさまざまなリスクが存在しますが、その中でも特に注意すべきは「シロアリ被害」です。シロアリ被害は見えにくいものの、家屋の耐震性に大きな影響を及ぼすことが知られています。今回は、シロアリと耐震について解説していきます。

シロアリの種類と地域別の被害

日本で最も被害が多いのはヤマトシロアリで、北海道を除く全国に広がっています。寒さに弱いため、温暖な地域での被害が顕著です。イエシロアリも被害をもたらしますが、主に温暖な地域に限定されています。さらに、アメリカカンザイシロアリは寒冷地でも被害を及ぼす可能性があるため、北海道を含む全国に存在すると考えられています​​。

シロアリ被害の影響

シロアリが住宅の土台や柱などを食い荒らすと、基礎部分が弱くなり耐震性能が低下します。深刻な食害がある場合、地震発生時に住宅が倒壊する可能性があります。阪神大震災では、倒壊した建物の多くにシロアリ被害が関与していたとされ、約25万棟の建物が全壊または半壊しました。シロアリ被害のある住宅では、9割が全壊したのに対し、被害のない住宅では2割程度が全壊し5割以上が軽微な被害に留まりました​​​​。

使用木材の種類とシロアリ被害

北欧産の集成材「ホワイトウッド」はシロアリに弱く、特に「腐れ」にも弱いです。ヒノキやヒバなど腐朽やシロアリに強い木材でも、乾燥過程で天然の防蟻剤が揮発し、シロアリに弱くなるリスクがあります。このため、ヒノキを使用しても5年に一度の薬剤塗布が必要です。また、薬剤塗布処理は再塗布ができない場所が多いため、予防対策には限界があります​​。

シロアリ被害予防と対策

シロアリ被害を防ぐためには、5~6年に一度の防除処理が推奨されます。また、被害が進行すると家の木材が食べられ、床がぶかぶかになり、主要構造材が空洞になるため、早期の発見と対策が重要です。住宅に対してシロアリ対策を適切に行うことで、地震による住宅倒壊のリスクを減らすことができます​​。

これらの情報から、シロアリ被害は単に木材の食害だけでなく、住宅の耐震性にも大きな影響を及ぼすことが分かります。特に日本のような地震が多い国では、シロアリ対策は住宅の安全を守る上で非常に重要です。

今のシロアリ対策

現代のシロアリ対策では、環境に配慮した薬剤や、住宅への影響を最小限に抑える技術が導入されています。これにより、効果的かつ持続可能なシロアリ対策が可能になっています。また、シロアリ対策の専門家は、個別の住宅や状況に合わせたカスタマイズされた対策を提案し、より効果的な対策が可能になっています。

シロアリ対策の経済的側面

シロアリ被害による経済的影響は無視できません。被害による修復費用は高額になることが多く、特に大規模な被害の場合、建物全体の再建や大幅な修理が必要となることがあります。したがって、予防対策への投資は、長期的に見れば経済的にも合理的な選択と言えます。

地震大国日本におけるシロアリ対策の重要性

地震が頻繁に起こる日本では、シロアリ対策は単なる害虫駆除以上の意味を持ちます。建物の耐震性を保つためにも、シロアリ被害の早期発見と対策が非常に重要です。特に、古い建物や木造住宅においては、定期的な点検と適切な予防措置が必要です。

まとめ

シロアリ被害は、見た目以上に深刻な影響を建物に及ぼす可能性があります。特に地震が多い日本では、シロアリ対策が住宅の耐震性に直接関わってきます。このため、定期的な点検、効果的な予防措置、専門家による適切な駆除と修復が非常に重要となります。シロアリ対策は、住宅の安全性を長期的に保つために不可欠な要素と言えるでしょう。

シロアリ駆除やシロアリ予防を業者に依頼する際、高い費用が心配されがちですが、専門的な知識と技術が必須です。自分で行うよりも、専門業者に依頼することで徹底した駆除、予防をしてくれます。万が一シロアリ被害が再発した場合でも、多くの業者が無料保証を提供しているため、施工後も安心して暮らすことができます。

この記事の監修者

犬飼 章博

  • 2015年 最年少で豊橋支店長就任
  • 2021年 本社支店長就任
  • 2023年4月より愛知県しろあり対策協会理事

住宅のシロアリ調査から始まり、その他の様々な害虫対策や防水・断熱といったリフォーム工事全般を経験してまいりました。調査実績は延べ数千件以上。
本社の支店長になっても現場が好きで、今も前線で活動しております。

疲れた体を癒すため、趣味は温泉巡りです。

資格
しろあり防除士
一級建物アドバイザー