家にシロアリが出たとき、とりあえず目に見える範囲だけでも駆除したいですよね。費用の節約のためにDIYでシロアリ駆除をしたいと考えている方も多いかと思います。目に見える範囲にいるシロアリを駆除するのであれば、掃除機で吸い込んだり、粘着テープで貼り付けたりする方法は有効です。

ただ、DIYで完全に駆除するのは難しいですし、やり方を間違えるとケガや事故につながるリスクもあります。DIYで一時的にシロアリを駆除できても、再発を繰り返すとその度に費用がかかってしまうので、節約になるかは疑問です。シロアリの再発を防ぐには、駆除だけでなく予防=防蟻(ぼうぎ)処理をしておく必要がありますので、予防まで行うならプロのシロアリ駆除業者に依頼したほうが安心です。

本記事では、自分でできるシロアリ駆除の方法をQ&A形式でお答えしていますので、DIYでの駆除を考えておられる方はまずそこからお読みください。シロアリ駆除でよく聞く「ベイト工法」についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【Q&A】自分でできるシロアリ駆除の方法は?

「シロアリを掃除機で吸いこんで駆除してもいいのだろうか?」「殺虫スプレーはシロアリに効果があるのかな?」といった疑問を持たれている方は多いかと思います。効果のある方法もあれば、逆効果になりうる方法もあるので、注意が必要です。

ここでは、Q&A形式でDIYでのシロアリ駆除に関する疑問にお答えします。掃除機や殺虫スプレー以外にも、手軽にできるシロアリ駆除の方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

シロアリを掃除機で吸いこんで駆除してもいいの?

シロアリが部屋の中など目に見える範囲、または手の届く範囲にいる場合は、掃除機で吸いこんで駆除するのは有効な方法です。シロアリは体の構造が弱く、掃除機の吸引力で圧死します。

吸引では死なずに掃除機のフィルターの中で生き残る個体もいますが、生きるのに必要な水分がなければ1日程度で死滅します。掃除機で駆除をしたら、時間を置いてから捨ててください。フィルターを取り出したらビニール袋に入れてしっかり密閉しておきましょう。

掃除機のタイプは、紙パック式がおすすめです。サイクロン式の掃除機で駆除すると、ダストボックスにシロアリが張り付いて後の掃除が大変になるのでおすすめしません。サイクロン式の掃除機しかない場合は、後ほど紹介する「粘着テープで貼り付ける」方法で対処してみてください。

吸い込んだ後の処理ですが、紙パックはそのまま燃えるゴミで処分してOKです。吸引後は、ノズルにシロアリの死骸が付いてしまうことがあるので、アルコール消毒しておきましょう。

殺虫剤や殺虫スプレーでシロアリは駆除できる?

殺虫剤でシロアリを駆除

手に届く範囲にいるシロアリなら、殺虫スプレーで駆除することはできます。巣の奥に隠れているシロアリまでは駆除できませんが、応急処置的に使うのでしたら、殺虫スプレーも駆除方法として有効です。

ただし、使う場所には注意が必要です。床下などの狭い場所で殺虫スプレーを噴射すると、薬剤を吸い込んだり目に入ってしまったり、シロアリの動きに驚いて床材に体をぶつけて怪我をしたり、思わぬ事故につながる恐れがあるので、床下に潜って使うのはおすすめしません。狭い場所や換気ができない場所での使用は控え、換気ができる広い場所で使うようにしましょう。

また、虫が嫌がるピレスロイド系の忌避成分が含まれる殺虫スプレーを噴射した場合、駆除しきれなかったシロアリが木材の奥に逃げたり、別の場所に逃げたりして被害が拡大するなど、逆効果になる場合もあるので注意してください。

家にあるもので手軽にシロアリ駆除できる方法は?

ここまでに紹介した駆除方法以外だと、「粘着テープや粘着ローラーで貼り付ける駆除」「ビニールをかぶせて捕獲する」の2つの方法があります。

1つ目の粘着テープや粘着ローラーで貼り付けて駆除する方法。シロアリは動きがそれほど速くないため、粘着テープや粘着ローラーなどに貼り付けて駆除することもできます。サイクロン式の掃除機しかないときは、粘着テープや粘着ローラーなどに貼り付けて駆除してみてください。シロアリに直接触れずに駆除できるのも、この方法の利点です。

2つ目のビニールをかぶせて捕獲する方法。シロアリの侵入経路が特定できた場合は、侵入口にビニールをかぶせて粘着テープで固定して捕獲する方法が使えます。わずかな隙間でもシロアリは家の中に侵入してくるので、しっかりと穴を塞いでください。ビニール袋にシロアリが溜まったら取り外して口を締めて処分しましょう。

ただし、これらの方法も殺虫スプレーと同じく応急的な駆除方法ですので、根絶には至りません。たびたびシロアリを家の中で見かけるようであれば、巣ごと駆除する必要があります。

ベイト工法はDIYでもできる?

ベイト(bait)は英語で「(釣り針や罠に仕掛ける)エサ」という意味で、シロアリに疑似餌を与えて集めて駆除する工法です。シロアリは仲間にエサを分け合うという習性があるため、駆除剤を混ぜた疑似餌を食べさせて巣に持ち帰らせ、巣にいるシロアリを駆除します。

ベイト工法では、駆除剤を混ぜた「ベイト剤」をステーションと呼ばれる特殊な容器に入れ、建物の外の土の中に埋めます。床下に潜って作業する必要がないため、床下が狭く入れない家や、床下がない家には有効な工法です。また、駆除剤は土の中に埋め込むため、人やペットが影響を受ける可能性が低く、危険が少ない駆除方法といえます。

ただし、ベイト剤が効果を発揮してシロアリを駆除できるまでに通常2ヵ月~3ヵ月かかるため、即効性がないのがデメリットです。駆除の可能性を高めるためにステーションの数を増やすと費用がかさんでしまい、割高になる場合もあります。

ホームセンターなどでベイト剤を購入できますし、シロアリ駆除専門業者でなくとも施工は可能ですが、DIYだと、どこに何本ステーションを埋めればよいかの判断が難しいです。シロアリが集まらない場所に埋めても費用が無駄になるだけですし、そもそも市販用と専門業者が使うものでは効果に差があります。実際に効果があったかも判断しづらいので、DIYでの施工はあまりおすすめしません。

DIYでシロアリ駆除をする際に起こりうる3つのリスク

シロアリ駆除は床下に潜って作業をしたり、薬剤を散布したりする作業があるため、慣れていないとケガや事故につながるリスクがあります。

ネットで検索するとDIYでシロアリ駆除をする方法を知ることはできますが、住宅の構造は一軒一軒異なりますし、シロアリの被害状況もまた住宅によって異なります。シロアリを駆除するには専門知識と経験が必要な作業であるため、安易にDIYで行うのはおすすめしません。

当然ですが、シロアリ駆除のために諸々の道具を揃えるにも費用もかかりますし、再発に伴って費用が繰り返しかかるようであれば、DIYで節約したはずが、そこそこの費用になっていた…ということも考えられます。

ここからは、DIYでシロアリ駆除をする際に起こりうる3つのリスクを解説します。

DIY駆除のリスク1:駆除しきれないと費用や手間が無駄になる

シロアリ駆除の薬剤はホームセンターでも販売されていますが、適切に散布して効果を発揮させるのは簡単ではありません。また、プロ用の薬剤と比べると、市販用はやはり効果が落ちます。

薬剤を散布する前に、まずシロアリが潜んでいる場所を特定しなければなりません。シロアリは木材の裏などにも巣食うため、目に見える範囲だけでは被害を特定できないのが厄介なところです。

薬剤を散布する際に、シロアリが別の場所(薬剤のかかっていない場所)に移動してしまうと、他の場所に被害が移ってしまうおそれもあります。毒餌を置いてシロアリに食べさせて駆除する方法もありますが、当然ながらシロアリが食べなければ効果は発揮されません。

また、シロアリの種類によって効果のある駆除剤が異なるため、ご自宅に巣食っているシロアリには効果のない駆除剤を買ってしまうと、費用が無駄になってしまいます。シロアリの巣を特定すると同時に、シロアリの種類を確認しておき、そのうえで駆除剤を選ばなければなりません。プロであればシロアリの種類を的確に判別できますが、一般の方が初見で判別するのは難しいでしょう。

プロ用の薬剤の持続効果は約5年と長いですが、市販の薬剤は持続効果が数ヶ月(約半年)しか持たないものも多いのも注意すべき点です。市販の薬剤は1回分の費用は安くつきますが、持続効果が短いため、再発の度に購入していると費用がどんどんかさんでいってしまいます。

他にも懸念すべき事項はあります。それは、DIYで完全に駆除できたと思ってしまうことです。実は駆除しきれておらず、知らない間に潜んでいたシロアリによって被害が再発していたということも起こり得ます。再発しているかを点検するにも手間がかかります。無料の定期点検を実施している業者や、再発生時は無料で再処理をしてくれる業者であれば、施工後の費用も手間も抑えられるので、長期的な視点で考えるほうがよいでしょう。

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DIY駆除のリスク2:思わぬケガをする恐れがある

シロアリが巣食っている床下は、おそらく多くの方が普段は入らない場所と思います。屋根裏もそうですね。床下に潜ってシロアリの被害を確認したり駆除したりする作業は、慣れていないと思わぬケガをする恐れがあります。

床下や屋根裏という狭い場所で、しかも普段はしない体勢で作業するのは体に負担がかかるものです。狭い場所で作業するというのは、精神的にもストレスがかかるものですので、無理はしないほうがよいでしょう。

作業中にシロアリが飛んでくることも想定しておいたほうがよいでしょう。飛んできたシロアリに驚いて反射的に体を起こそうとし、頭を床材などにぶつけると大きなケガにつながる恐れがあります。

狭い場所で薬剤を散布するという点も考えて作業しなければなりません。殺虫成分のある薬剤を散布するわけですから、薬剤が目に入ったり吸い込んだりして体調が悪くなる恐れもあります。薬剤の種類によってはシックハウス症候群や化学物質過敏症を引き起こすこともあるため、駆除剤を選ぶ際は、安全性に配慮した揮発性有機化合物(VOC)を含まない薬剤や天然系薬剤を使うことをおすすめします。

シロアリ駆除剤を散布する際は、必ずゴーグルと防じんマスクをしましょう。一般的な不織布マスクや布マスクでは薬剤まで防ぐことはできないので、「防じんマスク」を使ってください。薬剤を散布しない場合でも、床下や屋根裏には埃が溜まっているので、埃を吸い込まないためにもマスクをしてください。

ほかにシロアリ駆除に必要なものを挙げるとすれば、「ヘッドライト」「耐薬性ゴム手袋」「作業着」「噴霧器」などです。プロはこれ以外にも専用の道具を使って駆除をするため、道具の面でもDIYと差があります。

DIY駆除のリスク3:防蟻処理(予防)をしないとすぐ再発する可能性が高くなる

シロアリは一度駆除すればもう大丈夫、というわけではありません。駆除しきれなかったシロアリによって被害が再発することもありますし、外から侵入して再発することもあります。

シロアリ被害を食い止めるには、駆除する時に「防蟻(ぼうぎ)処理」、つまり予防もしておかなければなりません。薬剤を散布するだけでなく、換気対策、調湿対策、木材保存なども必要となるため、住宅に合わせて適切に防蟻処理を行うのは、DIYでは難しいです。

DIYで防蟻処理をした場合でも定期的に点検をしておかないと、知らない間にシロアリの被害が拡大してしまい、また苦労して駆除と防蟻処理を施さなければなりません。それなら、無料で定期点検を実施しているシロアリ駆除業者にまかせてしまったほうが安心です。

プロが行うシロアリ駆除の方法は具体的には何が違うの?という疑問を持たれた方は、以下の動画をぜひご覧ください。プロが行うシロアリ駆除と一般の方が行う場合の3つの違いを解説しています。

おわりに

掃除機で吸引したり、粘着テープで貼り付けたりする簡易的な方法であればDIYでも行えます。しかし、床下に潜って駆除するのは怪我をするリスクが伴うので、無理にDIYで駆除するのはおすすめしません。防蟻処理についてもDIYで行うのは難易度が高いです。

怪我のリスクや再発で費用がかさむ可能性を考えると、プロの駆除業者に任せてしまったほうがよいでしょう。まずは現状でどの程度シロアリの被害が拡大しているのか診断を依頼することをおすすめします。シロアリの無料診断を実親していますので、ぜひご利用ください。

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この記事の監修者

犬飼 章博

  • 2015年 最年少で豊橋支店長就任
  • 2021年 本社支店長就任
  • 2023年4月より愛知県しろあり対策協会理事

住宅のシロアリ調査から始まり、その他の様々な害虫対策や防水・断熱といったリフォーム工事全般を経験してまいりました。調査実績は延べ数千件以上。
本社の支店長になっても現場が好きで、今も前線で活動しております。

疲れた体を癒すため、趣味は温泉巡りです。

資格
しろあり防除士
一級建物アドバイザー