住居がシロアリ被害に遭うと建物の耐震性が低下し、高額な修繕費が必要になる場合があります。

シロアリの発生原因を把握し、適切な対策を講じておけば、建物や敷地内への侵入を予防できます。この記事ではシロアリの発生原因や巣を作りやすい場所、発生させないための予防策などを解説します。

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シロアリが発生する原因

シロアリは湿度が高く、エサとなる木材がある場所で発生しやすい傾向にあります。

人が快適に過ごせる断熱性が高い住宅も、シロアリの活動を後押しする原因の1つです。まずは、シロアリが発生してしまう主な原因について解説します。

断熱材を選ぶポイント
  • 湿度が高い

  • 熱伝導率

  • 耐湿性

湿度が高い

シロアリは基本的に、暗く湿度が高い場所を好みます。たとえば浴室や洗面所などの水回り近くの床下は常に湿気が高くなりやすく、シロアリが活動しやすい環境です。

また、元々水があった場所を埋め立てて作った土地も、湿気が高くなりやすいためシロアリが発生する原因となります。

住宅の断熱性能向上

近年は断熱性が高い住宅が増えているため、従来よりもシロアリが活動しやすい環境になっているのが現状です。シロアリの活動が活発になる温度は、種類によって異なります。

2013年3月に実施された調査によると、シロアリ被害の発生率は基礎断熱が施工されていない住宅に比べ、基礎断熱が施工されている住宅のほぼ2倍だったことがわかっています。*

シロアリは、6度から10度以下になると活動が鈍くなるのが一般的です。しかし、住宅の断熱性能が高まったことにより、気温が低い季節でも活動しやすくなっています。

*出典:国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」

建物に使われている木材の腐朽が進んでいる

シロアリは、水分を含んだ柔らかい木材を好んで食害します。特に、菌が繁殖して腐朽した木材は、水分を含んで柔らかくなるため、シロアリ被害に遭いやすくなります。

湿気の多い場所は腐朽菌を活発化させてしまいます。シロアリを発生させないためには湿度を調整し、木材が水分を含まない環境を作ることが大切です。

直射日光を避けられる環境がある

シロアリは少しでも日光に当たるとダメージを受けてしまいます。普段、地上で活動する際には日光を避けるために蟻道と呼ばれるトンネルを作って移動します。

直射日光が当たらない日陰や床下は、シロアリが活動しやすい環境です。

ウッドデッキの下や敷地内に置かれた廃材の周辺は日陰になりやすく、シロアリ発生の原因となります。

シロアリが巣を作りやすい場所

シロアリは直射日光を苦手としているため、人の目に見える場所には現れません。

人目につかない場所に巣を作っている可能性があるため、異変に気づいたときには被害が拡大している可能性があります。

ここからは、シロアリが巣を作りやすい主な場所について解説します。

キッチンや浴室など水回り

シロアリが巣を作りやすい場所としてまず挙げられるのが、キッチンや浴室などの水回りです。水回りは設備周辺に使われている木材に水分が染み込み、ほかの場所に比べて湿度が高くなりやすい場所です。

また浴室の場合、経年劣化したタイルの隙間や亀裂からシロアリが侵入し、別の場所に移動して新たな巣を作る可能性もあります。

水回りの下は土であるケースが多く直射日光を避けられるため、シロアリが活動しやすい環境です。建物を解体した際に、水回りの付近でシロアリ被害が発見されるケースも少なくありません。

畳の周辺

畳は吸湿性に優れており、部屋の湿度や温度を調整する効果があるといわれています。

しかし水分を含んで柔らかくなった畳は、シロアリが好んで食害します。

畳を踏んだ際、沈み込むような感覚があるときは畳の芯材に被害が及んでいる可能性があります。また、すでに畳の食害が進んでいる場合、畳下や床下の木材も大きなダメージを受けていると考えましょう。

玄関の周辺

玄関の周辺も、シロアリに巣を作られやすい場所のひとつです。

玄関はコンクリートやタイルで覆われていますが、玄関のドアを囲む枠木はコンクリートに挟まれているだけで、土に面している構造のものが多くあります。

そのほかにも、木材を使用している部分が多い玄関は、建物内への侵入経路になっている場合があります。

ウッドデッキや建物周辺の廃材

ウッドデッキは雨ざらしになることが多いため、水分を多く含んでシロアリが食害しやすくなります。メーカーや業者によっては、設置時に薬剤を塗布してくれる場合もありますが、屋外にさらされた状態では効果が持続しにくく、被害に遭いやすい傾向にあります。

また、建物周辺に放置された廃材にもシロアリが巣を作る可能性があります。土の上に置かれた木材はシロアリが外気に触れないままたどり着けるため、被害に遭いやすくなります。

シロアリが発生しやすい時期

基本的に人から見える場所に現れないシロアリに対し、羽アリは繁殖の時期を迎えると巣から飛び立つため、特定の時期になると屋内や建物周辺で見かけることがあります。

国内で主に発生しているシロアリを例に挙げると、ヤマトシロアリは4月~5月の昼間、イエシロアリは6月~7月の夕方から夜にかけて飛びます。

シロアリを発生させないための予防策

シロアリを発生させないために、自分でできる予防策がいくつかあります。すぐに実行できるものもあるため、普段の生活に意識的に取り入れてみましょう。

シロアリが好む環境を作らない

シロアリは湿度が高い環境を好むため、普段から換気をして湿気が溜まらないように心がけましょう。

浴室は、使用後に開けたままにしておくことで室内に湿気が流れ込んでしまいます。窓を開けたり浴室換気扇を使用したりして、湿気が溜まらないよう対策しましょう。

また、床下や押入れなどの湿気が溜まりやすい場所には、調湿剤が効果的です。

調湿剤は湿度が高くなると吸湿し、低くなると放湿するため、木材が腐朽しにくい低湿度の状態を維持しやすくなります。

侵入経路を作らせない

シロアリを発生させないためには、侵入経路を断つことが重要です。

シロアリは、コンクリートのわずかな隙間や亀裂からでも侵入できるため、普段から基礎や土台にヒビ割れがないかチェックし、必要に応じて修繕をしましょう。

また、水分が豊富にある場所はシロアリを寄せ付けてしまいます。
屋内に雨漏りや水漏れがないかの確認や、窓際の結露をこまめに拭き取るなどして対策しましょう。

庭に廃材や段ボールを放置しない

屋外に置かれた廃材は雨ざらしになると、水分を含んで柔らかくなり、シロアリが食害しやすい状態となります。また、シロアリはセルロースを含む紙類などもエサとするため、段ボールの放置にも注意が必要です。

建物内への侵入を防ぐためには、屋外にシロアリのエサになるものを置かないようにすることが大切です。また、切り株が腐朽するとシロアリを寄せ付ける原因になるため、伐採したら根から抜いて撤去しましょう。

5年に一度は専門業者に依頼する

住宅の新築時やシロアリ駆除をおこなう際、シロアリを予防するための防蟻処理がされることがあります。しかし、防蟻処理の効果は永久的に続くわけではありません。

シロアリ駆除や防蟻処理で使用する薬剤の効果は5年程度で切れるため、多くの業者は保証期間を5年間に設定しています。5年に一度は点検や駆除のための再施工をしながら被害の拡大を未然に防いでいくことが大切です。

業者の選び方や費用の相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

シロアリが発生する原因には湿度の高さや、建物に使われている木材の腐朽が進んでいるなどが挙げられます。シロアリは普段、人の見える場所に現れないため、発生に気づいたときには建物が大きなダメージを受けている可能性もあります。

予防策としては侵入経路を作らせない、廃材を放置しないなど、シロアリが好む環境を作らないことが大切です。自宅にシロアリが発生しているか不安な場合は、業者に点検を依頼しましょう。