自宅や近所で黒い羽アリを見かけた場合、住宅に被害はあるのかと不安になる人もいるのではないでしょうか。また、通常のアリやシロアリとの区別がつかずに困っているケースもあるかもしれません。そこで、黒い羽アリの正体やシロアリとの違い、見つけたときのリスクや対処法について詳しく解説します。

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黒い羽アリの正体には2つのパターンがある

「羽アリ」は、通常のアリに羽が生えることで発生するものです。アリのコロニー(アリが作り住む巣)においてアリが増えすぎてしまった場合や、将来女王や王となるアリが出た場合に出現します。

通常のアリには羽がありませんが、上記の条件を満たしたアリは羽が生え、繁殖・巣作りのために4~7月にかけて巣を飛び立っていきます。その後、交尾が終わると羽が落ち、地上で巣作りを始めます。生まれたときから羽アリとして存在しているわけではありません。

もし黒い羽アリを見た場合、元となるアリの種類は大きく分けて次の2つです。

クロアリに羽が生えている

1つは、クロアリに羽が生えているパターンです。クロアリの場合、家を食害してボロボロにすることはありません。

ただし、クロアリが自宅の中に侵入したり敷地内で巣を作ってしまうと被害が出るケースもあります。そのため、何匹も家に住み着いたりよく見かけたりする場合は、念のため駆除したほうがよいでしょう。

シロアリに羽が生えている

もう1つは、シロアリに羽が生えているパターンです。「シロアリ」という名前から白い色をしていると思われがちですが、実際のシロアリは胴体が真っ白とは限りません。茶色~黒っぽい色をした種類も多く、中には黒い色の胴体で、羽が生えたシロアリも存在するためクロアリと見間違えることもあります。

たとえばヤマトシロアリは胴体が茶色~黒っぽいのが特徴です。イエシロアリはやや茶色~赤がかった色をしています。アメリカカンザイシロアリであれば、頭部は茶~赤く、胴体は黒い色です。

羽が生えているシロアリとクロアリの見分け方

同じ黒い色をした羽アリでも、家に甚大な被害を及ぼすシロアリと、普段地面にもよくいるクロアリでは危険度が大きく異なります。

そこで、羽が生えているシロアリとクロアリの見分け方について、いくつか誰でも確認しやすいポイントに絞って解説します。

クロアリは胴体がくびれている

簡単なのは胴体を見る方法です。一般的に一般的に地面にいるアリを想像するとわかりやすいでしょう。

クロアリであれば胴体がくびれているので、頭と合わせると全体が三分割されたような、串団子に似た姿になっています。くびれた部分は非常に細いのも特徴です。くびれた中心の部分は腹柄節と呼びます。

一方、シロアリの場合はこのくびれが一切ありません。頭と胴体の間は細いですが、胴体はまっすぐのかたちをしているのが特徴です。小さな頭に長い胴がついていれば、それはシロアリだと思って間違いありません。

もし自宅で胴体がくびれていない、黒い羽アリを見かけた場合は、シロアリが巣を作っている可能性が高いです。一度シロアリが巣くうと繁殖によって急増します。そうなると家に大きなダメージを与える可能性があるため、早急に駆除しましょう。

また近所で見かけた場合も、自宅に住み着く可能性があるため、予防を早めに行うべきだと言えます。

6月以降に飛んでいるのはクロアリが多い

もし黒い羽アリを6月~11月ごろに見かけたのなら、シロアリではなくクロアリの可能性が高いです。

日本に生息して住宅被害をもたらすシロアリの中で、もっともクロアリによく似ているのは胴体が茶色~黒色をしたヤマトシロアリです。しかし、ヤマトシロアリの羽アリはおもに4~5月の春先に飛び立つため、夏以降は巣立った後で見かけることがありません。

また、同じく胴体が黒いアメリカカンザイシロアリの場合は6~9月頃に飛びますが、そもそもアメリカカンザイシロアリは、日本では生息数が少ないと言われています。そのため、6月~11月ごろに飛んでいる黒い羽アリなら、クロアリの方が可能性が高いでしょう。

クロアリは夜間に飛ぶ

クロアリは主に夜間に飛ぶため、夜に羽の生えた黒いアリを見かけたのならクロアリの可能性が高いでしょう。イエシロアリも夜に飛ぶ習性を持ちますが、こちらは全体的に白~茶色で黒くはないため、クロアリとの見分けがつきます。

ただし、クロアリの中にも昼間に飛ぶ種類がいるため、夜に飛ぶことは絶対条件ではありません。あくまで判断の目安の1つとして覚えておきましょう。

クロアリによる住宅や住民への被害例

シロアリが住宅の柱などを食害することはよく知られていますが、クロアリについては無害と思われがちです。しかし、実際にはクロアリも住宅に侵入することでさまざまな被害を及ぼすことがあります。いくつか被害例をピックアップして解説します。

室内に出現して食品を食べる

クロアリが住宅に侵入すると、キッチンやダイニング、リビングなど食べ物の多い部屋で食品を食べてしまうことがあります。

よく、外の地面を見るとアリが行列を作って食べ物を運んでいることがありますが、室内に侵入されると同じことが起こります。たとえば床に砂糖やお菓子がこぼれたままになっていると、クロアリが匂いをかぎつけて群れでやってくることがあるのでこまめな掃除が必要です。

家電の破損やショートを招く

深刻な被害例としては、家電の破損やショート事故が挙げられます。クロアリは動物性たんぱく質に反応する習性があり、これを多く含む機械油が使われた家電の中に巣作りすることも多いです。

アリが出入りしたり食べ物を持ち込んだりすると、家電が破損してしまいます。クロアリの顎は非常に力強いため、集団で家電のコードや内部の配線を噛んでしまい、ショートを引き起こすこともあります。火災事故の原因になるケースもあるため、巣作りされる前に駆除が必要です。

また、家電だけでなく車の中に巣作りするケースも見られます。特に、エンジンルームや床下などにひそんでいることが多いため、クロアリをよく見かける場合は確認してみましょう。

住人を噛む

クロアリは強い顎を持っているため、うかつに触ると住人を攻撃して噛むことがあります。また、ペットを飼っている場合も噛まれることがあるので注意が必要です。

小さい虫ですが、噛まれた部分が腫れたり、かゆくなったりする症状が出ることがあります。

まれではありますが、アレルギー反応、アナフィラキシーショックが起きることもあるため、無闇に手を出して触るのは避けましょう。

特に巣の近くでは巣を守るために攻撃的になります。クロアリを駆除するときは掃除機や粘着テープで直接手で触れない方法を選びましょう。

床下や水回りなどに巣作りする

床下や水回りなどにクロアリが巣作りし、家中のいたるところにクロアリが出現してしまうことがあります。

室内に食べ物を発見すると、営巣に最適な場所と考えたクロアリが巣作りしてしまい、クロアリの温床になります。アリは繁殖力が高く、1匹~数匹ずつ頻繁に出てくるようなこともあり、その都度退治してもキリがありません。

発見されにくいところに巣作りされていると退治が困難になる場合もあるので、専門家に依頼して完全に駆除してもらいましょう。

自宅への羽アリ侵入を防ぐ対策

クロアリが出現すると、シロアリほど深刻ではないものの、さまざまな被害があることがわかりました。しかし、クロアリはシロアリよりも身近な存在で、どのようにすれば自宅への侵入を防げるのかわからない人も多いでしょう。そこで、自宅への羽アリ侵入を防ぐ対策について解説します。

食べかすや食品・調味料を片づける

床に食べかすが落ちていると、食べ物の匂いを辿って外から羽アリやクロアリが住宅へ侵入するため、お菓子や砂糖はこぼしたらすぐ片づけるようにしましょう。特に羽アリやクロアリが好むのは、ポテトチップスやパンなど、小麦粉や油でできたものです。定期的にすみずみまで家の掃除を行い、衛生を保ちましょう。

また、キッチンのシンク下に調味料をしまっている場合、クロアリが調味料を狙って侵入してしまうこともあります。このように保管場所に直接侵入されてしまう場合は、食材を収納する場所を変えるのも有効です。

家の周辺にクロアリが嫌がるニオイをつける

クロアリはお酢やハッカ、ミントの精油といった香りを嫌がります。お酢や精油を水で薄めてスプレーを手作りし、家の周辺や外のごみ箱、窓の網戸などに撒くと忌避効果が得られます。手作りするのが面倒であれば、市販の忌避スプレーを購入するのも有効です。

侵入経路を塞ぐ

羽アリは窓のサッシや玄関などのすき間から入ってくることも多いので、可能な限りすき間を塞ぎましょう。ホームセンターで売られているすき間テープを貼り付けるのがおすすめです。また、網戸を張り替える際に24メッシュ以上の目が細かいものにすると、クロアリを含めてあらゆる虫の侵入を防げるでしょう。

なお、シロアリとクロアリでは侵入経路が異なるため、アリの種別にあった対策が必要です。シロアリは湿気を好むので床下や雨漏り・水漏れ箇所から侵入することが多いですが、クロアリは玄関や網戸などからの侵入が多いです。クロアリの侵入を防ぐ際には、玄関や網戸、家の窓など目に見える場所を中心に対策しましょう。

家や車から光を漏らさない

夜はできるだけ、家や車から光を漏らさないようにしましょう。クロアリの羽アリは夜に光(紫外線)へ向かって飛ぶ「走光性」という習性を持つため、家の中で明かりが漏れているとそこへ向かってしまいます。

夜に侵入経路を発見されないよう、遮光カーテンや雨戸を活用して光を出さないようにするのが有効です。玄関ライトに関しては忌避スプレーをかけるとよいでしょう。

自宅で黒い羽アリを見つけたときの対処法

自宅で黒い羽アリを見つけた場合、殺虫剤をかけてもよいのか、そのまま退治してもよいのかなどわからず悩んでしまうこともあります。自宅で黒い羽アリを見つけたときは、次の方法で対処するのがおすすめです。

クロアリであれば掃除機や粘着テープが有効

羽アリの正体がクロアリであると思われる場合で、なおかつ数が少ないなら掃除機で吸ったり、粘着テープにくっつけたりなど物理的な方法で退治可能です。クロアリは衝撃に非常に弱く、掃除機で吸うとその衝撃で死んでしまいます。掃除機の中で繁殖する心配はないので、掃除機で一気に吸ってしまいましょう。また、屋外なら殺虫剤をまいて退治するのも問題ありません。

ただし、これらはあくまでその場にいる羽アリやクロアリを退治する手段です。もし家内に巣を作られていた場合は、まだ巣の中にたくさんのアリたちがおり、全滅させることが難しいと言えます。困ったら、業者に依頼する方法で根本的な対処を目指しましょう。

業者に点検・駆除を依頼する

自分でできる対処法はあくまでも一時的な処置です。また、大量のクロアリが発生した場合は、巣を作っている可能性が高いため、卵を産む女王アリを退治しないといけません。巣を駆除するには業者に依頼するのがもっとも確実です。

シロアリ駆除の業者はクロアリにも対応してくれます。また、クロアリの羽アリはシロアリを食べることがあるため、黒い羽アリがいた場合はシロアリの発生も疑われることを覚えておきましょう。

特に、シロアリの予防を5年以上していない場合は、点検も兼ねて業者へ依頼することで、シロアリ・クロアリ両方の予防や駆除ができます。

こちらの記事で、シロアリ駆除業者の選び方や費用についてより詳しく解説しています。

まとめ

黒い羽アリには、クロアリとシロアリの2つのパターンが存在します。クロアリの場合は住宅への被害はそれほど心配ありませんが、巣を作って家電を故障させたり、住人を噛んでしまったりすることもあるため、できるだけ早急に駆除が必要です。

併せて、これ以上侵入しないように忌避スプレーを撒いたり、遮光したりして対策することをおすすめします。また、シロアリの羽アリを見かけた場合はこれから住宅に住みつき繁殖する可能性があるので、同様に駆除が必要です。

クロアリ、シロアリいずれもシロアリ対策の業者に依頼すれば、予防や駆除ができます。羽アリを見つけたら、被害が出る前に一度点検してもらいましょう。

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