ベイト工法は薬剤入りのエサをシロアリに持ち帰らせ、巣の中のシロアリを駆除する方法です。

薬剤を散布しておこなう方法とは、薬剤の使い方やシロアリ駆除に効果が出るまでの時間などが異なります。

この記事では、ベイト工法の特徴やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

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ベイト工法とは

ベイト工法は、シロアリが好むセルロース(木材成分のエサ)に薬剤を混ぜた「ベイト剤」を特殊な容器に入れて土の中に埋め、シロアリに持ち帰らせて巣の中のシロアリを駆除する方法です。

巣にいる仲間にエサを分け与えるシロアリの習性を利用して、時間をかけて巣全体に薬剤を作用させます。

また、薬剤は散布せず、外周部の土の中に薬剤入りのエサを施工するため、人やペットが影響を受ける可能性が低く、安全性が高いのが特徴です。

ベイト工法の特徴

ベイト工法は、巣の中に潜むシロアリを巣ごと駆除できます。どのような構造の家にも施工可能で、人やペットへの影響がほとんどない安全性の高い駆除方法です。

 ベイト工法の特徴
  • 巣の中にいるシロアリを駆除できる

  • どのような構造の家にも施工可能

  • 人やペットへの影響が少ない

巣の中にいるシロアリを駆除できる

ベイト工法は、仲間を誘導してエサを巣の中に運ぶシロアリの習性を利用し、巣の内部に薬剤を行きわたらせるため、巣の中に潜んでいるシロアリを駆除できる方法です。

ベイト工法に用いられる薬剤を食べたシロアリは、脱皮を阻害されます。

シロアリは成長すると体の組織が膨らみ、脱皮して新しい体を形成しますが、脱皮できないと圧迫されて死滅します。

脱皮の時期は個体によって異なるため、すべてのシロアリをすぐに駆除できるわけではありませんが、徐々に個体数を減らすことが可能です。

どのような構造の家にも施工可能

ベイト工法は、床下の薬剤散布が難しい次のような構造の家でも施工できます。

    • 床下が狭く入れない家

    • 床下の空気を循環させる構造の家

    • 床下がない家

家の外周部に薬剤入りのエサを入れた特殊な容器(ステーション)を一定間隔に埋めて仕掛け、巣の中のシロアリを駆除します。

敷地内の建物の周辺に60センチほどのスペースがあれば、家の構造に関係なく、ステーションを設置可能です。

人やペットへの影響が少ない

ベイト工法は、薬剤をステーションに入れて土の中やコンクリートに埋め込むため、人やペットが誤って触れてしまう恐れがありません。

また、ベイト工法に使われる薬剤は脱皮をする昆虫だけに作用するため、哺乳類や鳥類などには影響を及ぼしません。

使用量もわずかなため、周辺環境にも配慮した安全性の高い駆除方法です。

ベイト工法にデメリットはある?

ベイト工法には、速効性が期待できない点と、他の工法に比べて施工費用が割高になるといったデメリットもあります。

 ベイト工法のデメリット
  • 速効性が期待できない

  • 他の工法よりも割高な場合が多い

速効性が期待できない

ベイト工法で巣の中のシロアリを駆除するまでに必要な期間は、通常2ヵ月~3ヵ月です。

ベイト工法はシロアリがベイト剤を発見し、巣に持ち帰り、巣内のシロアリ全体に効果が伝播する、といった段階的に薬剤を作用させる長期的な方法です。

そのため、シロアリの被害が進行しており、早急に対処が必要な場合には適していません。

他の工法よりも割高な場合が多い

ベイト工法は、他の工法に比べて施工費用が割高になる場合があります。

これは、ベイト工法に使用する薬剤が高価であることや、シロアリに薬剤入りのエサを確実に運ばせるには、ステーションの数を増やさなければならない場合があるためです。

使用する薬剤の品質を落としたり、ステーションの数を減らしたりすることで、費用を抑えている業者もあります。

しかし、その場合は効果が中途半端になり、シロアリを完全に駆除できない可能性があります。そのため、専門業者へ依頼する際はシロアリ駆除の品質が保証されている薬剤を使用しているかを確認し、金額の安さだけで判断しないようにしましょう。

ベイト工法の施工費用の目安

業者に依頼した場合の費用は、家の外周・被害の程度・建物の構造で決められます。

費用の目安は家の外周1メートルあたり、およそ7,000円~9,000円です。30坪で外周が40メートルの家の場合、費用はおよそ280,000円~360,000円になります。

また、ステーションの設置後、エサの交換や再投入が必要な場合は追加で費用がかかります。

ベイト工法を施工する流れ

シロアリ駆除業者によるベイト工法の作業の流れは、次のとおりです。

    1. シロアリの被害箇所と巣を調査

    1. ステーションの設置

    1. 定期的な点検と薬剤の交換

家の中の被害箇所や蟻道を調査してシロアリの巣を特定し、適切な場所へステーションを設置した後、年に2回ほどシロアリの巣や薬剤入りのエサの点検をおこないます。

シロアリの被害箇所と巣を調査

まずはシロアリが好む暗く湿った床下や水回りなどを中心に、被害箇所や蟻道(柱や壁に作られるトンネル状のシロアリの通り道)を調べて巣の場所を特定します。

巣の場所が特定できたら、ステーションの設置場所や個数を決めます。

ステーションの設置

薬剤入りのエサを入れたステーションを設置します。およそ3メートル間隔で家を囲むように土に埋めて設置しますが、必要に応じて家の木材に直接貼り付けたり、床下に設置したりする場合もあります。

なお、地面がコンクリートで覆われている場合でも設置可能です。コンクリートを直径およそ10センチの円状にくり抜き、ステーションを土の中に埋め込みます。

定期的な点検と薬剤の交換

ステーションを設置した後は、年に2回の点検をおこない、ステーション内のエサとシロアリの巣を確認します。薬剤が確実に巣の中のシロアリへ作用しているかをチェックし、必要に応じてエサの交換や再投入をおこないます。

まとめ

ベイト工法はシロアリに薬剤入りのエサを持ち帰らせ、巣の中のシロアリを巣ごと駆除する方法です。

一般的なシロアリ駆除でおこなわれる薬剤散布では、効果が届きにくい巣の中のシロアリも駆除できます。

また、家の外周部に薬剤入りのエサを設置するため、どのような構造の家にも施工可能です。

人やペットが薬剤に触れる危険がほとんどないため、安全性が高い駆除方法ですが、速効性が期待できない点と、他の工法よりも施工費用が割高になるというデメリットもあります。

シロアリを見つけたら、まずは専門業者に建物の状態点検を依頼し、どのような対策を施すべきなのかを相談してみましょう。