家の周辺や床下などに卵やシロアリを見つけた場合、シロアリの卵なのではないかと不安になるかもしれません。そこで、シロアリの卵とはどのような特徴があるのか、またシロアリを見つけたらどうしたらよいのか詳しく解説します。

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時期はない!シロアリは女王が毎日卵を産む

シロアリはハチや他のアリと同じように、女王と王を頂点とした縦社会を形成しています。種類にもよりますが、一般的に女王アリは巣の中で毎日数十以上もの卵を産みます。そのため、巣や女王アリを放置していると1年で数千匹規模のシロアリが増えてしまう計算です。

幸い日本では見かけませんが、たとえばオーストラリアに生息し、長寿命で知られる「ナスティテルメス・シロアリ」のように、種によっては約100年をかけて累計50億個の卵を産むケースもあります。

なお、シロアリは特定の繁殖期がないため、季節に関係なく卵を産み続けます。孵化には1~3ヶ月かかりますが、毎日産んでいるため、1年を通して常にシロアリの卵が孵化している状態です。

また、女王アリは単体生殖も可能なので、駆除の際に女王を逃がしてしまうと、逃げた先で再び繁殖を開始するため被害が収まることはありません。

シロアリは食害している場所を巣にすることが多い

シロアリの巣は、シロアリの餌となる住宅の柱の中や段ボール、土の中などにあります。シロアリは床下や水回りなど湿気の多い場所に生息し、周囲の建材を食べながら営巣するのが特徴です。

特に本巣は安全性を重視して、建材の内部や土の中など肉眼では簡単に見つからない位置に作られます。入り口はごく小さな穴であっても、土の中を掘ると1メートル以上にもなる巨大な本巣が見つかることもあります。

一方、分巣は外にあることも多いです。巣のあるところには付近にアリが分泌物で作りあげた、トンネルのような「蟻道」があったり、穴付近をシロアリが出入りしていたりするので比較的見つけやすいでしょう。また、イエシロアリの場合は球状の巣が作られることもあります。

シロアリの卵の特徴と発生場所

家の基礎や床下部分などに卵のようなものを見つけると、シロアリの卵なのではないかと不安になる人も多いでしょう。そこで、シロアリの卵の特徴や発生場所について解説します。

卵は1mm以下の白い楕円形をしている

シロアリの卵は白く、細長い楕円形をしているのが特徴です。シロアリの種類によってこまかな形は異なります。大きさはだいたい1mm以下のことが多いです。たとえば、日本のシロアリで代表的なヤマトシロアリは約0.4~0.6mmの卵を産みます。

卵は1粒だけあるわけではなく、女王が毎日産み落とす数十個の卵を働きアリたちが運んで積みあげ、「卵塊」と呼ばれる山を形成していきます。

巣の奥で常に守られているため室内では目にしない

巣の奥で女王によって産み落とされた後、シロアリの卵は働きアリたちによって巣の中にある卵専用の部屋に運ばれ、管理されます。

そのため、巣を壊さない限りシロアリの卵を目にすることはまずないでしょう。もし、家の周辺や床下などに卵のようなものが落ちている場合、シロアリではなく他の昆虫の卵である可能性が濃厚です。

シロアリの卵は単体で成長できない

シロアリの卵は働きアリが世話することで維持されます。

たとえば、魚の卵は親が産みつけた後に放置しても時間が経過すると勝手に孵化しますが、シロアリの場合は放置されたままでは成長できません。約30~90日かけて孵化する間、働きアリたちが卵をずっと世話をし続ける必要があります。

そのため、周囲にいる女王アリや働きアリたちをまとめて駆除すれば卵はそれ以上成長・孵化できなくなります。したがって、卵そのものは家にとって脅威ではありません。たとえば巣が壊れて卵が落ちていたとしても、周囲のシロアリがすべて駆除されていれば卵の成長は途絶えるでしょう。

卵ごとシロアリを駆除する2つの方法

シロアリの巣があるのであれば必ずそこに女王アリがおり、毎日卵をひそかに産み続けているはずです。シロアリの繁殖を阻止するためには、巣やシロアリを根こそぎ駆除する必要があります。そこで、一般的に採用されている2種類の駆除方法について解説します。

薬剤散布(バリア工法)

シロアリの殺虫成分を含んだ薬剤散布をして、シロアリを駆除する方法です。

日本は床下に巣くうヤマトシロアリとイエシロアリがほとんどであるため、薬剤も床下や基礎などに撒きます。「バリア工法」とも呼ばれており、文字通り地面と建物の間に薬剤のバリアが張られることで、床下や木材にシロアリが侵入できなくなる仕組みです。薬剤を直接散布するため、即効性に優れているのがバリア工法のメリットでもあります。

ただし、ホームセンターに置いてある市販の薬剤は木材の裏や手の届かない奥などに散布しにくく、散布できなかった場所には効果がありません。

毒餌(ベイト工法)

シロアリの好む毒餌(ベイト剤)を置く方法です。

シロアリが巣に持ち帰った毒餌を巣の仲間が食べたり、毒餌を食べて死んだシロアリの死骸を他のシロアリが食べたりすることで、シロアリが連鎖して死んでいきます。そのため、毒餌を設置した場所にわずかな数のシロアリしかいなかったとしても、巣ごとシロアリを駆除できるのがメリットです。

巣で世話している働きアリたちも、持ち帰られた毒餌を食べて死ぬため、卵の孵化を阻止できます。

シロアリ被害に遭いやすい家の特徴

シロアリは一度巣くうと、どんどん繁殖して増えていくため、見つけたら即座に駆除することが大切です。

シロアリ被害に遭っている場合、シロアリを寄せつけている原因が必ず存在します。一度以下の項目もチェックして、常にシロアリを寄せつけない暮らしを心がけましょう。

湿気が多い

シロアリは70~80%程度の多湿の環境を好みます。そのため、住宅の一部で雨漏りや水漏れを起こしているとシロアリが巣くう原因になりやすいです。

また、水回りや普段から樹木や置物、あるいは建材などに隠れて日が差さない場所はシロアリの住処や侵入経路に最適な環境になってしまいます。

家の中や周囲がじめじめしていると感じた場合、換気を徹底したり庭木を剪定して日当たりをよくしたりして、できるだけ湿度を下げましょう。

家の周囲に餌となるものが置かれている

シロアリは木製品や紙などを好んで食べます。そのため、家の周囲に廃材やウッドデッキ、枕木など木材・木製品が置いてあるとシロアリの餌になってしまいます。また、雑誌や新聞などのゴミを常に家の外に置いている場合も同様です。

食べ物があるとシロアリは好んで寄りつきます。そのまま家の中にも侵入されてしまいかねないので、できるだけ撤去することが大切です。

もしウッドデッキのように撤去できない場合は、業者に予防として防蟻処理を依頼したり、市販の薬剤をかけたりなどできる限り対策しましょう。

新築から5年が経過し予防していない

新築から5年が経過した家は、シロアリ被害に遭いやすくなります。建築時に施される防蟻剤の効果が約5年で失われるためです。そのため、新築から5年が経過する時点で再度予防を行わなければなりません。

しかし防蟻処理が必要なことを忘れていたり、お金がかかることからためらったりしている場合、シロアリ被害を受けてしまいやすくなるため注意しましょう。

また、過去に再度予防したことがある家であっても、さらに5年が経過すれば再び薬剤の効果期間が切れます。ベイト工法の場合はさらに短く、約1年で切れることもあります。施工した業者にどのくらいの有効期限があるのか確認し、期限を迎える直前に再度予防することでシロアリを防ぎ続けられます。

シロアリ予防を行うことで被害を未然に防げる

住宅がシロアリの被害に遭わないか心配であれば、日頃から予防に努めましょう。

まず、自分でできる対策としては自宅の周辺や庭を整備しましょう。たとえば植木鉢はシロアリが土の中に侵入する媒介になるため、できるだけ撤去するのが安全です。

もし家の通気口をふさいでいるものがあれば同じく撤去します。庭木は日当たりをよくするため剪定し、餌になる廃材やゴミも片づけましょう。また、屋内に関しては換気を徹底します。もし、雨漏りや水漏れを起こしているなら早急に修理業者を呼びましょう。

シロアリを寄せつけない家にするためにも、これらの自己対策は欠かせません。対策を施した上でシロアリ業者に定期的な予防を行ってもらえば、シロアリ対策は万全です。

シロアリの点検や予防・駆除は業者へ依頼する

シロアリの卵らしきものを見つけたり、周囲にシロアリがいたりして不安になった場合は、自分で点検や駆除を行うのではなくすべて業者に依頼しましょう。

業者であれば、本当にシロアリがいるかどうかの点検から、予防としての防蟻処理、シロアリ駆除まですべて細部までしっかり対応してくれます。また、業者であれば一般の人が見過ごしがちな兆候も見つけてくれたり、周辺の環境でシロアリを寄せつけそうな要素があればアドバイスをくれたりするため、今後の予防にも役立つでしょう。調査や点検は無料でおこなっている業者もあります。

業者に予防や駆除を依頼する場合、家一軒あたりの費用は20~30万円がかかります。しかし、いったんシロアリ被害が出てしまうと、修繕費としてこの数倍~十倍以上の金額が出ていってしまうケースも多いです。定期的な予防を欠かさないことで、家財を効率よく守れます。

こちらの記事では、シロアリ駆除業者の選び方や費用についてより詳しく解説しています。

まとめ

シロアリの卵は1mm以下の楕円形をしています。基本的に巣の中で守られているため、巣を壊さない限りは見かけることはまずありません。そのため、昆虫の卵を見つけてもシロアリのものである心配はしなくてよいでしょう。

ただし、湿気の多い家や5年ごとの予防をしていない家など、条件が揃うとシロアリが発生しやすくなります。シロアリ被害を防ぐためにも、定期的な点検・予防を徹底しましょう。

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