シロアリは床下にひそんでいることが多いですが、条件が重なると2階も被害に遭ってしまいます。2階は住人の警戒の対象外になりやすく、被害に気がつきにくいため前兆や侵入経路について詳しく把握しておくことが予防をする近道です。

いったいなぜ2階が被害に遭うのか、またどのようなシロアリが2階に侵入するのか、駆除方法とも併せてわかりやすく解説します。

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シロアリは2階以上の場所にも発生する

シロアリが2階に侵入する場合、1階から2階にやってくるパターンと、2階に直接やってくるパターンがあります。それぞれの発生原因を見てみましょう。

1階から2階にやってくる場合

床下周辺から侵入したシロアリが、柱や壁経由で2階まで到達するケースが考えられます。この場合は1階でおもに営巣したり食害したりするため、2階だけでなく1階も被害にあっている可能性が高いです。

また、2階に到達する頃には1階の柱や基礎のほとんどが食い尽くされていることもあり、地震で倒壊するリスクや2階が落ちるリスクも出てきます。床下のシロアリ予防を行うことや、2階に上がる前に早期発見し駆除することが大切です。

2階に直接やってくる場合

1階を介さず、2階に直接やってくる場合もあります。おもに住宅の数メートル~数百メートル圏内にあるシロアリの巣から、羽アリが飛び立ち2階へ飛来したり、周辺で営巣したりするケースが考えられます。

特に、春〜秋は羽アリが群飛する季節です。羽アリは通常のシロアリと異なり飛べるので2階のみならず、3F以降の高層階にも容易に到達します。もし付近で羽アリを見かけたら、自宅にやってくるかもしれないため警戒した方がよいでしょう。

また、日本では生息数が少ないものの外来種のアメリカカンザイシロアリは乾いた木を好み、木の中に巣を作るため他のシロアリよりも2階へ住みつきやすいです。こちらも羽アリを見かけたら予防や点検を行いましょう。

なお、羽アリには比較的害の少ないクロアリと、住宅を食害するシロアリの2種類がいます。見分け方については以下の記事も参考にしてください。

シロアリが2階に出没する理由

シロアリは1階を中心に活動することが多いですが、条件が揃うと2階にも活動範囲を広げていきます。いったいなぜ2階に出没するのか、おもな理由を解説します。

湿気が多い

シロアリは湿気を好むため、2階部分の木材に湿気が溜まっているとシロアリにとって格好の住処となります。通常、1階から上がってくる場合は床下~柱の半ば程度が食べられることが多いですが、2階に湿気が多いとシロアリが水分を求めてさらに上まで上がります。

上がってくるのはおもに日本の代表的なシロアリであるヤマトシロアリです。ヤマトシロアリは本来自力で水を運べないため通常であれば2階は活動範囲になりにくいですが、湿気があると2階でも生息できてしまい被害が広がります。木材に湿気が含まれていると、餌である木材の匂いが水分と混ざるためシロアリがかぎつけてやってくる仕組みです。

なお、一般的な住宅の2階は、1階に比べると水回りが少なく湿度も低いため通常はあまり食害対象にはなりません。もしシロアリが出た場合、雨漏りや結露などなにか異常がある可能性を疑った方がよいでしょう。

羽アリが新たな巣を探している

2階以上に飛べる羽アリが住宅に住み着くと、そのまま2階が食害されてしまいます。

羽アリはもともと普通のシロアリです。

しかし、毎年春~秋頃になると巣の中のシロアリが増えすぎるのを防ぐため、一部が羽アリとなって新たな巣を探すため飛び立ちます。そのため、羽アリの一部の種類では、たまたま2階にやってきてそのまま住宅内に営巣し、餌として住宅を食害してしまうことがあります。

シロアリの好む食料がある

2階にシロアリが好む木材があると、2階も食害されるリスクが高くなります。シロアリは木材ならなんでも食べますが、特にやわらかくて食べやすい木材を好みます。そのため、2階にマツ材や春材のスギなど、やわらかい木材があるとシロアリがその木材を追いかけ、どんどん食べ進めてしまうことがあります。

また、1階にもやわらかい木材がある場合、床下→1階の柱→2階の柱と、どんどん上がってくることがあるので注意が必要です。

2階に出る可能性のあるシロアリ

続いて、実際に2階に出没するシロアリにはどのような種類がいるのか、また危険性について解説します。

ヤマトシロアリ

ヤマトシロアリは日本における代表的なシロアリの一種です。北海道以外の国内全域に広く生息します。他のシロアリと同様湿気を好みますが、イエシロアリと異なり水を持ち運ぶことはできないため、2階に到達する例はまれです。

しかし、雨漏りや水漏れにより柱に水分が多く含まれていると、水分や木材と水の混ざった匂いをたどって2階までやってきます。

ヤマトシロアリは4~5月頃に羽アリとして飛び立ち、巣を作ると2~3万匹の大群で食害を進めていきます。女王アリは1日に約25~30個の卵を産むため、被害が広がる前に駆除が必要です。

イエシロアリ

イエシロアリはヤマトシロアリと並んで国内に被害例の多いシロアリです。外来種で、おもに西日本以南の暖かいエリアに生息します。関東ではあまり見かけませんが、神奈川や千葉の一部などに生息しているため注意が必要です。

イエシロアリはヤマトシロアリに比べると被害規模が大きく、危険な種類といえます。たとえばヤマトシロアリと異なり水を運ぶことができるため、2階が乾燥していても被害にあうケースがあります。

また、非常に繁殖力が強く、ヤマトシロアリが1日20~30個以上の卵を産むのに対しイエシロアリは1日300個以上も産むのが特徴です。巣の中には100万匹以上が生息し、1年で柱3本分をまるまる食い尽くします。食害が急速に進むため、もし見つけたら迷わず即座に駆除が必要です。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリはヤマトシロアリやイエシロアリに比べるとごくわずかながら、日本でも被害のある外来種のシロアリです。「乾材」の名前通り乾いた木を好むので、湿気がなくても2階に上がって食害していくことがあります。また、2階へ直接群飛して木を食害し、中に営巣することもあるのが特徴です。

なお、飛ぶといっても飛距離は数メートル~十数メートルしかないため、もし被害にあったら近隣の住宅も被害を受けている可能性が高いです。もし近隣の住宅が被害を受けているなら、自宅が次の営巣場所にならないよう注意しなくてはなりません。

アメリカカンザイシロアリは特に糞が特徴的で、木くずのように見えます。たとえば家の柱の周囲に木くずが落ちていた場合、木くずではなくアメリカカンザイシロアリの痕跡かもしれません。

シロアリ被害が疑われる3つの前兆

もし自宅の2階にシロアリが住み着いているかもしれないと不安になったら、次のような前兆がないか確認しましょう。

柱を叩くと空洞音がする

柱を叩いて、中が空洞になっているような軽い音がしないかチェックしましょう。シロアリは木材に穴を開け、内側から食害していくため被害を受けた柱はスカスカになります。柱だけでなく壁に対しても同様のチェックが可能です。他の場所と音を比べるとよりわかりやすいでしょう。

蟻道がある

可能であれば、家の周囲や床下に蟻道がないか確認しましょう。蟻道はシロアリが分泌物と土や木などを混ぜて作るトンネルで、光を嫌うシロアリにとって日常的な通り道になります。盛り上がった筋のように見えるため比較的発見が容易です。一般的には光の当たらない部分に作られるため、床下の基礎立ち上がり部分や配管の隙間などに見られることが多くあります。

ただし、ヤマトシロアリやイエシロアリと異なり、アメリカカンザイシロアリは蟻道を作りません。そのため、仮に自己点検で蟻道がなかったからといって100%安心できるわけではないことも覚えておきましょう。

柱や壁の周辺に木屑が落ちている

柱や壁の周辺に木屑のようなものが落ちている場合、シロアリ被害が疑われます。柱の近くにあることからシロアリの食べかすに思えるかもしれませんが、実際はフンであることが多いです。たとえばアメリカカンザイシロアリは木材を食べた後に1mm程度のフンを落とす習性があります。

ただし、木屑を発生させる虫はシロアリ以外にもキクイムシやシンクイムシなど多くいます。アメリカカンザイシロアリは被害例が少ないので他の虫の方が可能性は高いですが、不安であれば点検を受けることをおすすめします。

シロアリが2階に出たら早急に駆除が必要

もしシロアリが2階に出た場合、早急に駆除が必要です。2階に発生したということは、すでに1階も食害されている可能性があります。特にイエシロアリは水を持ち運びどんどん上へ行くだけでなく繁殖力も強いため、2階に行くころには1階の被害が深刻になっていることも十分考えられるでしょう。

また、1階~軒まで貫く「通し柱」が食害されると家の構造に深く関わるため、非常に危険です。柱を抜いて修理することもできないため、被害に遭ったら厳重に補強するしかなくなります。

これ以上被害を拡大させないためにも、シロアリを見つけたら早急に業者へ駆除を依頼しましょう。市販の駆除剤は、1匹残らず退治するのが難しい上、逃げたシロアリが発見しにくい場所へと逃げ込んでいくリスクもあるので使用は避けましょう。

駆除業者の選び方や予算が不安な方は以下の記事を参考にしてみてください。

賃貸物件や分譲マンションは管理会社へ相談を

もしも戸建てではなく、賃貸物件や分譲マンションにシロアリが発生した場合はまず管理会社へ連絡しましょう。賃貸物件や分譲マンションの場合、基本的なシロアリ予防の義務は管理会社や大家にあります。

賃貸、分譲マンションともに、共有部分の侵入・食害については費用を管理会社や大家負担で修繕してもらえるはずです。ただし、専有部分や借りている居室について居住者のメンテナンス不足でシロアリが発生した場合、費用は個人で持つ可能性があります。

雨漏りや水漏れがあったのにそのままにしたり、わざと付近に廃材のようなシロアリの餌となるものを置きっぱなしにしたりしなければ問題ないので、日頃から自分でできる範囲の対策をしておくとよいでしょう。


2階にシロアリ被害を出さないための予防方法

シロアリ対策は1階が中心になるので、2階は予防がおろそかになりがちです。2階に万が一でも被害を出さないよう、普段から次の2点を心がけましょう。

雨漏りや水漏れは早急に修理する

2階にシロアリが出る場合、湿気が原因になることが多いです。もし雨漏りや水漏れがある場合はそこが侵入経路にもなってしまうため、早急に修理をしましょう。通常の雨漏りや水漏れは自費での修理が必要ですが、台風や強風、ひょうなどの自然災害で屋根が壊れて雨漏りした場合は火災保険の風災補償を適用できます。

また、シロアリ業者でも雨漏りや水漏れの補修が可能です。雨宮でも対応しているのでお気軽にご相談ください。

1年に1回の床下点検を欠かさない

1年に1回を目安に、床下点検を行いましょう。シロアリの8割は床下から侵入します。そのため、2階を守る場合でも床下の点検は必須です。

予防や駆除は薬剤を散布するため費用がかかりますが、点検については無料で実施する業者がほとんどです。雨宮でも無料で点検を実施しているので、毎年欠かさず点検を行いましょう。初めての点検で業者を探している場合は床下だけでなく、屋根裏の雨漏りや水漏れまでしっかりチェックしてくれる実績の高い業者がおすすめです。

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まとめ

シロアリの中でも水を運べるイエシロアリは容易に2階まで到達することが多いです。また、雨漏りや水漏れがあるとヤマトシロアリも2階へやってくることがあります。被害例は少ないものの、直接2階に飛来して食害するアメリカカンザイシロアリもいるので兆候も見逃さないようにしましょう。蟻道があったり柱を叩くと空洞音がしたり、木屑のようなものが落ちていたりしたらシロアリの可能性があります。

また、2階に被害を出さないための根本的な対策は、シロアリの定期的な予防や点検を欠かさないことです。点検は無料でできるので、年に1回を目安に行うことで2階への被害を未然にくい止められるでしょう。対策を万全にして、住宅の1階から2階までをシロアリ被害から守りましょう。

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