イエシロアリは土の中に巣を作ります。巣には本巣と分巣の2種類があり、分巣を増やして行動範囲を広げていく習性があります。

分巣は蟻道の延長線上に見つけられる場合がありますが、本巣を探すのは専門業者に依頼しないと難しいでしょう。

本記事では、土の中に巣をつくるシロアリの危険性とあわせ、専門業者に依頼した場合の駆除方法や想定される費用について解説します。

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シロアリは土の中にも巣が作れる

日本に生息するシロアリは、主に次の場所に巣を作ります。

シロアリが巣を作る場所
  • エサにする木材の中

  • 土の中

特にイエシロアリは土の中に本巣と分巣の2種類の巣を作って行動範囲を広げ、蟻道を伸ばして建物内へと侵入します。

イエシロアリは水分の少ない土の中でも巣を作れる

イエシロアリは、土の中に大きな塊のような巣を作ります。水を運ぶ習性があるため、水分の少ない乾いた土の中にも巣を作ることが可能です。

排泄物や唾液と土を混ぜて作られる巣は、網目状の層を重ねたような構造になっています。表面は触れると割れてしまうほど柔らかいですが、内部にいくほど強度が高くなり、中心部は石のように頑丈です。

巣は地表から深さ1メートル~3メートルに作られるケースが多く、ほとんど場所を変えずに定住します。イエシロアリは個体数を増やすスピードが早く、被害範囲を短期間に拡げてしまいます。

乾燥した木材も自ら湿らせて食べ進めるため、エサ場になるのは住居だけではありません。庭の切り株や枯れた樹幹、古い小屋なども次々と食い荒らしていきます。

イエシロアリの巣には本巣と分巣の2種類がある

イエシロアリは、王アリと女王アリが繁殖活動をおこない個体数を増やす本巣と、離れた場所のエサを食べる際の経由場所にする分巣を作ります。本巣とエサ場との間に枝わかれさせながら分巣を増やしコロニーを広げていくため、全体の大きさは半径100メートル以上になることもあります。

被害箇所周辺の土の中や壁、屋根の裏側などに巣を見つけた場合、そのほとんどが分巣であると考えられます。たいていの本巣は深い土の中に作られるため、簡単に見つけることができません。

イエシロアリは本巣がある限り、次々と分巣を増やすことができるため、根本的に駆除をするためには本巣を取り除かなくてはなりません。 

土の中の巣から蟻道を経路として室内へ侵入する

イエシロアリは日光や乾燥、外敵から身を守りながら移動するためにトンネル状の蟻道を作ります。

水取り蟻道とエサ取り蟻道の2種類があり、イエシロアリはその中を通って水とエサを効率的に巣へ運び込みます。

エサや水を求めて室内に侵入する際、土の中の巣から床下や周辺の壁に蟻道を作り経路にします。シロアリ被害が目立つ場所の床下の立ち上がり部分や配管の隙間などには、蟻道が見つかるケースが多いです。

土の中のシロアリの巣の見つけ方

分巣は蟻道の延長線上にあります。場合によっては、土の中ではなく被害箇所の付近の壁裏や屋根裏で見つかることもあります。

一方で、本巣は建物から離れた場所の深い土の中に作られていることも多く、探すためには専門的な知識や経験が必要です。

蟻道の延長線上を探す

蟻道は、床下の立ち上がり部分や配管の隙間、周辺の壁などに多く作られます。シロアリの巣を見つけるためには、蟻道の延長線上を探すのが一般的です。

エサや水を巣へ運ぶ目的で作られる蟻道は、延長線上に球体状の分巣が作られている可能性が高いです。深さ1メートルくらいの土の中のほか、被害箇所の周辺の屋根裏などで発見できることもあります。

ただし、必ず蟻道の先に分巣が見つけられるとは限りません。被害付近から分巣までの蟻道の長さが10メートル近く伸びているケースもあり、蟻道を追えず見つけられないケースも少なくありません。

本巣を見つけるのは専門業者でないと困難

土の中のシロアリの本巣を見つけるには、専門業者に依頼しましょう。

本巣が作られていそうな場所に器具を使って数ヵ所穴をあけて金属の棒を差し込み、その際の感触をたよりにして探す必要があるため、専門的な知識や経験がないと見つけられません。

さらに、イエシロアリはコロニーが巨大になるほど行動範囲が広く、建物から離れた場所に本巣が作られている場合もあるので、自力で見つけるのは難しいでしょう。

専門業者による土の中のシロアリの駆除方法

土の中に巣を作るイエシロアリを完全に駆除するためには、薬剤散布で建物への被害を食い止めるだけでなく、土の中の巣に薬剤を作用させる必要があります。

専門的な知識や道具、薬剤が必要となり専門業者へ依頼する必要があります。

具体的にどのような処置がおこなわれるか、詳しく解説します。

薬剤散布で土の中から建物への侵入を防ぐ

薬剤散布は速効性のある薬剤を床下の木材や土などに拭き付け、イエシロアリの屋内侵入を防ぎ、被害を食い止める目的でおこなわれます。

散布する薬剤には駆除効果と予防効果があります。

住み着いているシロアリを駆除できるだけでなく、薬剤効果が持続する間、侵入してきたとしても薬剤に触れさせ、死滅させることでシロアリの侵入を防ぐことが可能です。

床下がベタ基礎でコンクリートで覆われている場合も、コンクリートのつなぎ目や配管部分の隙間など、シロアリが侵入しやすい場所を専門家の目で入念にチェックしながら散布します。

ベイト工法で巣の中のシロアリを駆除

ベイト工法とは、薬剤入りのエサを使って、巣の中のシロアリを死滅させる施工方法のことです。

家の外周部や被害箇所の周辺にエサを設置しておびき寄せ、薬剤を巣の中に持ち込ませ駆除する、シロアリの習性を利用した方法です。

エサの設置から巣の中のシロアリに効果が出るまでには通常で2ヶ月~3ヶ月かかるため、速効性は期待できませんが、土の中の巣に潜むシロアリを狙った駆除ができます。

土の中のシロアリの駆除費用の目安

専門業者による薬剤散布と、ベイト工法に必要な費用の目安は下表のとおりです。

駆除方法 薬剤散布 ベイト工法
費用目安 1平米あたり約2,200円~4,000円 1メートルあたり約7,000円~9,000円

一般的にイエシロアリの薬剤散布の場合、他のシロアリよりも1.3倍~1.5倍の駆除費用がかかります。加害状況が深刻な場合が多く、薬剤の使用量が増えることが原因です。

さらに、屋根裏や壁をめくっての薬剤散布は、工程が複雑で施工時間が長くなるため費用が高くなりやすい傾向にあります。

ヤマトシロアリやアメリカカンザイシロアリの駆除にかかる費用が1平米あたり約1,500円~3,000円だとすると、イエシロアリは約2,200円~4,000円ほどかかることが想定されます。40坪の家に薬剤散布した場合、費用の目安は約290,000円~530,000円ほどになるでしょう。

シロアリ駆除業者の選び方や費用の相場については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

まとめ

イエシロアリは土の中に巣を作ることが可能です。巣には本巣と分巣があり、全体で半径100メートル以上の大きさになることもあります。

分巣は蟻道の延長線上に見つけられる場合がありますが、本巣は深い土の中にあることが多く、専門業者に依頼しないと見つけるのは難しいでしょう。

イエシロアリの駆除には、薬剤散布やベイト工法を用いられます。被害状況や巣の場所にあわせた適切な方法や薬剤で、きちんと駆除できるように専門業者に相談しましょう。

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