シロアリ対策を講じるときに、シロアリが嫌う植物を植えたらシロアリが寄ってこなくなるのではないかと考える方もいるのではないでしょうか。

植物や樹木の中にはシロアリが嫌うものもいくつかあるので、住宅を新築するときや庭で植物を育てるときに取り入れるのも手です。ただし、植えるときの注意点や予防効果に関するリスクもあるので、併せてわかりやすく解説します。

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シロアリが嫌う植物や木材の特徴

シロアリには特定の植物や木材を忌避する傾向があります。シロアリが嫌う植物や木材は次のうちいずれか、もしくは両方の性質を持つのが特徴です。

シロアリが食べにくい木質をしている

1つは、シロアリが簡単に食べられないような木質をしていることです。硬い木材はシロアリがかじってボロボロするまで時間がかかるため、食害が進みにくい傾向があります。一方で、住宅建材にも多用されるマツのようなやわらかい木材はシロアリの好物です。

また、シロアリは木に含まれる水分を辿って移動し食害していくため、水分含有量の少ない木材や耐水性の高い木材、あるいは乾いており湿気の少ない木の方がシロアリは寄りつきにくくなります。特に水を運べないヤマトシロアリはその傾向が強いです。ただし、イエシロアリは水を運べるため乾いた木でも問題がなく、アメリカカンザイシロアリのようにもともと乾いた木を好む種類もいます。

シロアリが忌避する香りや成分が含まれている

もう1つは、シロアリの苦手な香りもしくはシロアリに有効な防虫成分が含まれていることです。よく、着物を収納するときに桐のたんすを使用しますが、これは桐に防虫成分が含まれているからです。同じように、シロアリが苦手な香りや成分の含有量が多い木や植物はシロアリが寄りつきにくくなります。

ただし、同じ木でも外側部分である辺材と中心部分にあたる心材のどちらを使うかによって食害のされやすさが変わります。一般的に木の中心に近い方が防虫成分の含有量が多く、また木質自体が固くなる傾向にあるため食害されにくくなります。

シロアリの嫌う植物の香り2選

では、実際にシロアリが嫌う成分を含む植物には何があるのでしょうか。おもに家庭菜園や庭木など自宅でも育てられる植物や、アロマオイルなどで入手しやすいものを中心に2種類ピックアップして解説します。

ハッカ

虫よけハーブとしても有名なハッカはシロアリに対しても忌避効果があります。「メントール」という清涼感のある香りの成分は、シロアリをはじめさまざまな昆虫が苦手とするものです。ハッカは自宅で種や苗から手軽に育てられます。繁殖力が強いため、初心者でも比較的育てやすい植物です。

なお、日本名ではハッカと呼びますが英語名はミント。シソ科ハッカ属の植物の総称がミントであり、ハッカはその中の1つです。ただし、一般的に販売されているミントと表示されているものに比べると、ハッカの方がメントールの含有量が多いためシロアリ対策に向いています。

シロアリ対策として利用する場合、家の周囲に植木鉢を置き育てるのがよいでしょう。あるいは直接育てるのではなく、精油と精製水を購入して混ぜハッカ油を作り、虫よけスプレーとして撒くのもおすすめです。

シナモン

料理に使用するシナモンの香りもシロアリが苦手とします。シナモンには「オイゲノール」や「シナムアルデヒド」といった防虫成分が含まれているのが特徴です。

実際に、有効成分としてシナモンを配合したシロアリ用の忌避・殺虫スプレーもあり日本でも活用されています。シナモンは観葉植物として自宅で生育可能です。艶やかな葉を持ち高さもあるので、見栄えがするでしょう。

なお、シナモンはクスノキ科の植物で、クスノキにもまた防虫剤としてもよく使われる「樟脳(しょうのう)」という成分が含まれています。クスノキは学校や神社、公園などに植えられ大きく成長するので、日本国内でも知らず目にしている機会も多い植物です。

シロアリが嫌う木5選

続いて、シロアリが苦手とする木材について5つピックアップして解説します。住宅建材で悩んでいる方や、自宅の建材がシロアリに好まれやすいのか知りたい方は参考にしてください。

ヒバ

ヒバにはヒノキにも含まれる「ヒノキチオール」という防虫成分が多く含まれており、シロアリを防ぐ効果が高いです。

ただし、ヒバならなんでもよいわけではなく、海外産のヒバよりも国産のヒバ、特に青森ヒバにヒノキチオールが多く含まれています。また、ヒバはシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドを分解・除去することでも有名です。腐食に強く、住宅建材としても優秀な木材といえます。

ローズウッド

ローズウッドは他の木材に比べると非常に硬いため、シロアリの食害が進みにくいのが特徴です。ローズと名前が付く通り、やや赤みがかった美しい木色をしているため家具や住宅建材として好まれています。

また、シロアリが嫌うテルペン類の香り成分を持つためシロアリが寄ってきにくいのもポイントです。ヒノキやスギと比べても高い防虫効果があります。

ヒノキ

高級な住宅建材として日本でも好まれているヒノキには、「ヒノキチオール」や「αカジノール」というシロアリが苦手とするテルペン類の成分が含まれます。ただし、ヒノキチオールの含有量は青森ヒバの方が高めなので、シロアリ対策としては青森ヒバの方が優秀です。

また、ヒノキは産地によってシロアリへの耐性が変わります。シロアリ対策として使用するなら、おもに高温多湿になりにくい北部産のヒノキや、福島、長野産のヒノキが有効です。ただし、これらの産地であっても春材のヒノキは秋材よりやわらかく、むしろシロアリに好んで標的にされることもあるため注意が必要です。

スギ

スギはヒバやヒノキと並んで防虫効果が高いことで知られる木です。日本の住宅建材にもよく使われています。特に心材は固く、シロアリの食害を防ぎやすいです。

ただし、ヒノキやスギは生木から住宅建材へと加工される段階の高温乾燥によって、防虫成分が失われてしまうことがあります。そのため、シロアリ対策としては効果があまり見込めない建材も多いです。

スギもヒノキと同じく、やわらかい春材は逆に食害されやすい弱点もあります。

チーク

チークは非常に硬く頑丈なため、シロアリから好まれにくい木です。また、耐水性も高いため湿気を防ぎやすく、シロアリの生息しにくい環境を作るのに役立ちます。

世界三大銘木の1つにも数えられる木で、非常に美しい木目や色合いから建材だけでなく家具などにも広く使われるのが特徴です。ただし、チークは過去に大量に伐採されており、自然保護の観点から現在では流通量が少なくなっています。そのため非常に高価な建材です。

シロアリの嫌う植物を置く際の注意点

もし、シロアリが嫌う植物を置いたり、使用したりすることでシロアリ対策をしようと考える場合はいくつかの注意点があります。購入前に確認しておきましょう。

シロアリは木材ならなんでも食べる

ヒバやヒノキなどの木材は、シロアリにとってあくまで苦手なだけであり、食べられないわけではありません。そのため、たとえ総ヒノキで作った住宅があったとしてもシロアリの食害を受けるリスクはゼロではないことを覚えておきましょう。

苦手な木材であっても、目の前にあれば食べてしまいます。材質が硬いことで食害スピードが通常より遅くなったとしても被害があることには変わりなく、予防をせずに放置していればいずれ他の木材と同じように柱や基礎などがボロボロになる日が来るでしょう。シロアリを防ぐためには業者に依頼し、確実な防蟻処理が必要です。

確実な効果はない

ハッカやニーム、シナモンなど防虫成分を含むハーブや樹木などはいくつもありますが、どの植物においても、植えたからといって100%シロアリが来ないわけではありません。

シロアリの好む木材ばかりが使われている家と、苦手な植物・木材の多い家が並んでいれば、前者から食害する可能性が高いといった程度です。また、植物の香りや防虫成分が及ぶ範囲は限られているため、いくつか植えただけで家全体が守られるわけではありません。

たとえば庭になにか植物を植えたいと思ったときにシナモンを取り入れたり、ハーブを楽しむ一環として防虫効果の高いハッカを育てたりなど、日常生活の一部として活用するとよいでしょう。あくまで自分でできる、手軽な予防策の1つと考えるのがおすすめです。

植物が庭の環境を変える可能性もある

よかれと思って植えた植物が、庭や近隣の環境に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。

たとえばハッカは繁殖力が非常に強いことで知られています。地植えにするとあっという間に庭全域を浸食したり、他の植物を駆逐したりすることがあるのは覚えておきたい点です。また、外で育てると交雑を繰り返して雑草化し本来の用途を果たさなかったり、種が飛んで近隣の住宅の庭を荒らすリスクもあります。

ハッカやミントなど繁殖力の強い植物は地植えにせず植木鉢がおすすめです。ただし、植木鉢も置きすぎると逆に湿気の原因になったり、シロアリが土を介して住宅に侵入する原因になることもあります。また、植木鉢の中に巣を作るケースもあるので、日当たりのよい場所を選ぶこと、数を置きすぎないことが大切です。

植物がかえってシロアリを呼び寄せることがある

植物の育て方によっては、かえってシロアリを呼び込む原因になることがあります。たとえばハッカは薄暗い場所でも栽培できる植物です。薄暗い場所で水やりを繰り返したり、密生したりすることで湿気が増えると、かえってシロアリの好む環境を作り上げてしまうことがあります。

また、シロアリの嫌う植物を植えた結果、シロアリが植物のない住宅の中に逃げ込んでしまう可能性もあるでしょう。特に住宅の中の予防をしていない場合、シロアリにとって餌が豊富にあるかっこうの逃げ場となります。

シロアリが嫌う植物を置く以外にできる対策

もしシロアリを防ぐために植物の設置を考えているのなら、ほかにも自分でできる対策や有効な対策がいくつもあるので、そちらを完璧にしてから行うのがよいでしょう。シロアリに対して特に有効な対策を2つピックアップしてご紹介します。

なお、自分でできるシロアリ対策についてはこちらの記事でも解説しているので、参考にしてください。

湿気を防ぐ

シロアリ対策の基本は湿気を防ぐことです。シロアリは湿気のある木材を好むため、庭や、家と塀との間の通気性や日当たりを確保して周囲や床下の湿気を防ぐ方が植物を置くより効果があります。

もし、庭木の葉が生い茂っているなら剪定すると日当たりがよくなり、さらに湿度を下げられるでしょう。また、庭の周囲にある植木鉢を撤去すれば土を介してシロアリが侵入するリスクを減らせます。餌になる新聞紙や廃材などを撤去することも大切です。

その他、雨漏りや水漏れもシロアリが侵入する原因になるため、定期的に点検するとよいでしょう。このように、湿気を軽減する対策はいくつもあります。まずは家の周囲を点検し、湿気の原因になっているものがないか確認しましょう。

業者による点検を定期的に行う

業者によるシロアリ点検や、定期的な予防を欠かさないようにしましょう。家の周囲や庭を片づけたり、植物を置いたり、あるいは市販の防蟻スプレーをまいたりといった自分での予防や駆除は、100%確実な効果が見込めません。確実な効果が保証されるのは、シロアリ業者による予防や駆除のみです。

シロアリの予防は5年に1回ペースで行います。雨宮でも予防や駆除を請け負っているほか、シロアリの予防をした後は、アフターフォローとして1年に1回の無料点検を案内しています。もしこれまでに予防をしたことがなくても、点検は無料で受けられるのでまずはシロアリ被害がないかの確認や、シロアリのリスクが高い場所のチェック、住宅に合わせたアドバイスなどを受けましょう。

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まとめ

シロアリは防虫成分を含む木や植物、あるいは硬くて食べにくい木を好みません。シロアリ予防をしたいなら、シロアリが嫌う理由を知った上でそれらの植物や木を日常生活に取り入れていくとよいでしょう。

ただし、シロアリの嫌う植物はあくまでシロアリが苦手とするに過ぎず、確実な効果があるわけではありません。植物や木を置いただけでシロアリが来なくなることはないので、住宅を守りたいなら最終的にはシロアリ業者による予防が必須です。

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