防蟻処理(ぼうぎ処理)とは住宅のシロアリ被害を未然に防ぐ手法です。自宅に防蟻処理が必要なのか、どのような処理をするのか気になる人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では防蟻処理の内容や方法を解説します。また、防蟻処理をしてもシロアリが再発生する可能性もあるため、保証内容を踏まえて業者を選ぶことが大切です。

防蟻処理とは

防蟻処理(ぼうぎしょり)とはシロアリ被害を予防するために、住宅の土台や柱などに専用薬剤を散布または塗布することです。

薬剤のほかに、防蟻または防湿加工が施されたシートや除湿剤を床下に設置し、シロアリの侵入を防ぐ方法もあります。しかし、シートの下に湿気がたまると、高温多湿になるため、シロアリが巣を作る可能性があります。

また、防湿材は防蟻加工が施されていないため、それ自体にシロアリを予防する効果はありません。シロアリの予防効果を高めるには、専用薬剤を使用した防蟻処理が必要です。

シロアリ予防に防蟻処理は必須

住宅にシロアリ被害が生じると、構造の耐震性能が損なわれ、倒壊の危険が増します。シロアリは通常、人の目に触れない場所で活動するため、被害が進行していることに気付きにくくなります。

そのため、家をシロアリから守るには防蟻処理が欠かせません。このセクションでは、防蟻処理の実施条件や建築基準法の視点から、その重要性について説明します。

防蟻処理はシロアリがいない状態でおこなう必要がある

家にシロアリが見当たらないとき、防蟻処理は無用と考える人もいます。しかし、防蟻処理はシロアリがまだ発生していない段階で行い、被害の予防を図ることが肝心です。

防蟻処理の主な目的は、シロアリの予防です。従って、既にシロアリの侵害が確認された場合は、まず駆除を行い、その後防蟻処理を実施するべきです。

木造の建物は建築基準法で防蟻処理が義務化

木造建築物は建築基準法により、防蟻処理が必須とされています。具体的には、地上から1メートル以下の木部への防蟻処理が義務づけられています。

※出典元:建築基準法施行令第四十九条

これにより、戸建て住宅を新築する際には、防蟻処理の実施が必須となります。

現状、RC構造や鉄骨造の住宅には防蟻処理の義務はありませんが、木材を用いた部分はシロアリの被害リスクが存在します。そのため、これらの住宅でも、定期的な防蟻処理を行うことを推奨します。

防蟻処理の方法

防蟻処理は専門知識と技術が必要になるため、通常は業者に依頼します。業者による防蟻処理には、土壌処理と木部処理の2種類があります。

土壌処理

土壌処理はシロアリの侵入を阻止する効果的な方法であり、土壌の表層や内部に特定の薬剤を散布します。一般的には以下の3種類の処理方法が取り入れられます。

面状散布:土壌の表層に薬剤を均一に散布します。

帯状散布:基礎周りや束石の表面に薬剤を散布し、特定のゾーンを保護します。

加圧注入:土壌の深部に薬剤を注入し、シロアリの通行を阻止します。

多くの場合、面状散布が選ばれ、これによりシロアリが地中から家へ侵入するのを防ぐ防蟻層が形成されます。シロアリは主に地中を通じて侵入するため、この方法が非常に効果的です。状況に応じて、帯状散布や加圧注入も適用されることがあります。

木部処理

木部処理というのは、シロアリ被害を防ぐために建物の木材部分に特定の薬剤を塗布または注入する方法です。以下の4種類の処理方法が主に用いられます。

吹付処理:噴霧器で薬剤を使って木材に吹き付けます。

塗布処理:薬剤を直接木材の表面に塗布します。

穿孔注入処理:特殊な器具を使用して木材に穴を開け、その中に薬剤を注入します。

穿孔吹付処理:壁面に穴を開け、その中に薬剤を吹き付けることで、シロアリを予防します。

シロアリの被害がない住宅では主に塗布処理が行われます。一方、すでにシロアリ被害が発生している場合には、穿孔注入処理や穿孔吹付処理が選ばれることが多く、これによりシロアリの駆除と予防が行われます。

穿孔注入処理や穿孔吹付処理は、木材または壁面に穴を開ける必要があります。仕上げの際に穴を木栓で塞ぐため、薬剤が漏れだすことはありません。

防蟻処理をおこなう最適なタイミング

木造の住宅では、建築基準法により新築時の防蟻処理が義務付けられています。では、その後や中古住宅購入時には、どのようなタイミングで防蟻処理を行うべきかを説明します。

防蟻処理は主にシロアリの予防を目的としています。従って、シロアリがまだ発生していない状態で行うことが重要です。もしシロアリの発生が確認された場合は、まず駆除を行い、その後で防蟻処理を実施するのが適切な手順となります。

防蟻処理の効力は約5年

防蟻処理は、一度実施すれば効果が永久的に続くわけではありません。防蟻処理で使用されている薬剤効果は、5年程度が目安です。そのため、防蟻処理をおこなうタイミングは5年に一度を目途にしましょう。

薬剤の効果が5年程度である理由は、人体や環境への影響が関係しています。従来は、5年以上効果が持続する薬剤も使用されていました。しかし、土壌汚染や蓄積性が問題になったため、現在では人体や環境に優しい薬剤に切り替えられています。

公益財団法人日本しろあり対策協会では、環境に負荷がかからない薬剤を認定しています。協会が認定した薬剤であれば、安全性に問題はないので安心です。

不破郡のシロアリ駆除業者おすすめ4選

防蟻処理をどのシロアリ駆除業者に頼めばいいか分からない方もいると思います。ここでは不破郡でおすすめシロアリ駆除業者をご紹介します。
駆除業者の選び方については、下記の記事でも詳しく紹介しております。
シロアリ駆除は自分でできる?プロの駆除費用の相場は?料金が安すぎるとリスクが高まる理由 | シロアリの雨宮のコラム

雨宮

雨宮 公式サイト

雨宮は創業50年以上で、施工実績は68万件以上になるシロアリ駆除業者です。日本しろあり対策協会公認のしろあり防除施工士が多数在籍しています。事前調査から駆除、アフターケアまで自社社員が実施しているため、バラツキのない高品質なサービスを展開しているのが強みです。施工には5年間の保証がつくのはもちろん、無料点検を2回実施するため、再発生に備えた体制も万全です。

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サニックス

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サニックスは、東証プライムに上場している業者です。シロアリ駆除以外にも、太陽光発電や住宅メンテナンス業務を請け負っています。シロアリ駆除と同時に、住宅のメンテナンスを依頼したい方におすすめです。シロアリ駆除についても40年以上の実績があるため、安心して駆除を依頼できます。経験豊富な技術力をもって、床下やコンクリート下の土壌まで、シロアリを駆除してくれるでしょう。

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ダスキン

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ダスキンは全国規模で清掃サービスを提供する大手の業者ですが、害虫の駆除も行っています。施工法はバリア工法とベイト工法の2つから選択可能です。薬剤を撒かない方法もあるので、子どもやペットに配慮したい方も安心できます。またダスキンは駆除スタッフに社内ライセンス制度を実施しています。3年に1度の更新が必要な制度なので、常にシロアリ駆除に関する最新の知識を備えたスタッフが施工を実施しています。

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大心産業

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大心産業は、岐阜市を中心に害虫・害獣の駆除や住宅のリフォームを行い、地域との連携を大切にしています。5年の保証期間内には、2回の無料点検サービスを提供し、お客様の安心と満足を第一に考えています。また、JA全農岐阜との連携があり、信頼できる証でしょう。

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防蟻処理まとめ

木造の住宅では、新築時に防蟻処理が義務付けられていて、初めから一定の予防措置が取られています。とはいえ、使用される薬剤の効果は無期限ではなく、時間と共にその効力を失っていきます。中古住宅の購入の場合や経年経過した住宅においても、おおよそ5年ごとに防蟻処理を行うことで、シロアリからの保護効果を継続し、強化することが重要となります。

この記事の監修者

犬飼 章博

  • 2015年 最年少で豊橋支店長就任
  • 2021年 本社支店長就任
  • 2023年4月より愛知県しろあり対策協会理事

住宅のシロアリ調査から始まり、その他の様々な害虫対策や防水・断熱といったリフォーム工事全般を経験してまいりました。調査実績は延べ数千件以上。
本社の支店長になっても現場が好きで、今も前線で活動しております。

疲れた体を癒すため、趣味は温泉巡りです。

資格
しろあり防除士
一級建物アドバイザー